4. 法改正が続く「賄賂・贈収賄」問題。関連法の域外適用が認められれば、タイ以外の国から罰則を受ける可能性も!
贈賄は両罰規定が原則。防止措置の不備は法人責任も
1999年に施行された「汚職防止基本法」などの関連法令については、その後15年、18年と改正が続き、非常に注目を集めています。
タイにおいては両罰規定が明記され、前述の通り贈賄行為を行った本人はもちろん、「違反行為防止を措置するための適切な内部措置を講じていなかった」ことを理由に当該法人にも罰金刑が科せられます。
しかし逆に言えば、法人が処分対象になったとしても、汚職防止のための適切な内部統制システムの導入さえ証明できれば、その企業責任が減免される場合もあるのです。
なお、罰金額は、損害額または当該法人に生じた利益の1~2倍と規定されています。
汚職関連法が域外適用されると、タイ国外からも懲罰対象に
タイはもちろん、世界的な流れとしても汚職撲滅に向けた法制度の整備が行われています。
例を挙げると、日本には「不正競争防止法」、アメリカには「米国外国賄賂防止法(FCPA)」、イギリスには「英国賄賂防止法(UKBA)」などがそれぞれ存在。
タイで発生した汚職問題でも、域外適用が認められれば他国での行政処分対象になり得るのです。
ちなみに「不正競争防止法」では日本国民が海外で行った贈賄行為も対象とされ、法人に対しては3億円以下の罰金が、個人には5年以下の懲役または500万円以下の罰金、またはそれらが併科されます。
また、実際に適用されるケースも年々増えています。