NGO法人京都大学ASEAN拠点

NGO法人京都大学ASEAN拠点

「ASEAN各国の潜在力を引き出す」
所長 柴山 守

《プロフィール》
しばやま まもる
■1947年生まれ。京都府出身。京都大学大学院卒、京都大学工学博士。地域情報学。大阪国際大学教授、大阪市立大学教授、京都大学東南アジア研究所教授〜京都大学名誉教授〜現在に至る。
■座右の銘:虎穴に入らずんば虎子を得ず
■愛読書:東南アジア歴史書、推理小説
■尊敬する人物:石井米雄京都大学名誉教授
■趣味:遺跡探訪、帆船模型
■バンコクの行きつけの店:中華料理七里香
■愛用の腕時計:トレッキングウォッチ
■休日の過ごし方:水泳、ビーチでリラックス


 

事務所立ち上げの経緯について
実は、我々の「京都大学ASEAN拠点」より前、1963年に京都大学が東南アジア研究センター・バンコク連絡事務所を開設していました。そこから長年にわたりASEAN地域で積極的に研究教育活動を展開してきましたが、研究・教育・国際貢献をさらに深めるため、もう一歩踏み込んで活動しようと2014年6月、当拠点を開設しました。長い年月の中で王室の方々とも繋がりが深く、シリントーン王女が京都大学を訪問されるなど、密な関係を築かせて頂いています。

具体的にはどのような活動を?
まず第一に、ASEAN地域との連携を通して相互の“頭脳循環”を図り、学究活動の発展・展開を促進すること。数多くの研究や教育の国際的な人材交流があり、そのひとつとして「ジョン万プログラム」という研究者・事務職員に向けた国際交流を促進する支援を進めています。同時に、ASEAN地域の研究・教育・国際化の貢献において、出会いや結びつきの機会といった“縁”を大切にし、そこから生まれる“輪”(ネットワーク)の育成に重きを置いています。

そのために目指したのが、ASEAN全域の研究教育における交流活性化の場を構築すること。これまで、国家レベルでの経済外交といったタイ日間交流は多数ありましたが、研究教育組織主導での交流の場はほとんどなく。それを我々が先導し、ASEAN全体の研究や教育レベル・教育環境の向上に繋げ、またひいてはASEANの潜在力を引き出す契機になればと、16年9月に各ASEAN諸国から学術機関や政府機関の代表を招いて「京都ASEANフォーラム」を初めて開催しました。

ASEAN経済共同体発足直後でもあり、関心も高かったでしょうね
そうですね。自分たちの国だけで何とかするというよりも、横の連携を深め、解決の道筋を導くことが今、求められていると感じます。
同フォーラムの目的としては、ASEANに共通する学術を中心とした諸課題の解決です。国連サミットで採択された「Sustainable Development Goals(SDGs、持続可能な開発目標)」の17項目をASEAN全体としていかに実現するかをテーマに掲げながら、引き続きプラットフォームとして進化できるよう、見つめていきたいと思います。具体的には、科学技術に関する研究の推進や教育水準の向上、研究環境の改善などが挙げられています。ASEAN各国で開催する「東南アジアネットワークフォーラム」は、今年タイでは10回目を迎え、ようやく具体的な取り組みが始まろうという段階になりました。

旗振り役ですね。タイにおける研究者の育成についてはいかがでしょう
タイの研究教育環境は、ここ4~5年で急激に良くなっています。最新機材や設備の導入に加え、閉鎖的だったタイの研究界が国外に目を向け、積極的に交流を図るようになりました。それと共に、我々がタイで暮らす意味として、日本とタイの研究者の交わりを促進できるよう、共同研究に励める場を提供し続けていきたいと思います。
これまでの共同研究の事例は100をゆうに超えますが、中でもメコン川や、東南アジア海域を移動するカメやジュゴンの海洋における移動を把握し、分析する生態研究、エネルギー枯渇を防ぎ、太陽光や廃棄物からの効率的エネルギー変換を目指す研究など、テーマは多岐に渡ります。

在タイ大学事務所との交流も盛んです
タイに事務所を構える日本の大学連絡会「JUNThai」の立ち上げに協力し、同じ日本代表として異国で活動する者同士、情報共有をさせて頂いています。今では50大学を超えるまで広がっていますね。

今後の展望は?
タイにおける長い経験を通して構築された仕組みは、どの国にも当てはまる基盤だと思っています。今後、各国の事情に合わせてその仕組みをいかに落とし込んでいけるか。ASEANに留まらず、全世界に構える約60に及ぶ京都大学の海外オフィスを通して、交流の“輪”を展開していきます。

京都大学とMOU締結を結ぶ「VISTEC大学」のオープニングでは、シリントーン王女が講演された(2016年)