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翻訳本でタイ人の心掴む – DAIFUKU CREATOR Co., Ltd.

日本文学の中毒性に着目
翻訳本でタイ人の心掴む

Chief Editor
Aleen Chalermchaikij
アリーン・チャルムチャイキット


東野圭吾氏のミステリー小説をはじめ、「リラックマ」のキャラクター本など日本語書籍のタイ語翻訳本を出版する「DAIFUKU CREATOR」。その確かな翻訳力と実績が国内から高評価を受けている。同社創業者のAleen編集長に日本作品の可能性について話を聞いた。

東京大学在学中に日本作品の魅力を知ったと伺いました
日本の文部科学省の奨学金制度で2001年から5年間、東京大学の情報学環・学際情報学府に在籍しまして、その時に日本の書籍を読む機会を得ました。

小説を初めて読んだ時に「これは中毒性がある」と感動したことを今でも覚えています。例えば、東野圭吾さんの「容疑者Xの献身」。現実に起こりうる事件の中で、親近感を抱きやすいキャラクターが物語をダイナミックに展開する様は、ファンタジックでありながら、読み手を物語に引き込むリアルさがあります。また、純愛や科学、社会問題などの要素が複雑に絡み合う一方で、登場人物をいたずらに増やさないなど、難解さを感じさせない工夫が随所に散りばめられているのもポイント。豊富な内容なのに読みやすいことが何度も読みたくなる理由なのではないでしょうか。

自己啓発本やビジネス書はコンセプトが明快でわかりやすく、タイにはないノウハウや考え方は刺激的でした。特徴的なのは「情報が深いこと」ですね。京セラや第二電電(現KDDI)創業者の稲盛和夫さんの「燃える闘魂」や、OJTソリューションズ著の「トヨタの片付け」からは、造詣の深さが垣間見えます。

在学中の読書体験が起業に繋がったのですね
そうですね。「魅力ある日本の書籍をタイ人にも紹介したい」という想いは、在学中に芽生えました。卒業後は出版社ではない日本の一般企業に勤めたのですが、「やはり本を作る仕事がしたい」と感じ、タイに戻り、実家が経営する出版社に入社することになりました。そこで編集部長として、仏教の教えや日本語教本など幅広いジャンルの本を出版し、13年に独立しました。

当初は日本語や漫画の描き方に関する教本を出版していましたが、15年にキャラクター本の翻訳権を獲得し、翻訳出版事業を始めました。もともと、日本のキャラクターにはタイにないかわいさがあると思っていたので、ぜひタイ人に読んでほしかったのです。「ブッタとシッタカブッタ」(小泉吉宏著)や「ワタシとまめゴマ日記」(ヨネムラマユミ著)など、日本の人気キャラクター本を出版したことで若者の支持が集まり、17年からは小説も手掛けることにしました。

小説の翻訳事業は、東野圭吾さんの作品を中心に行っています。中でも人気の「ガリレオシリーズ」はこれまでに5冊出版しており、これから残りのシリーズ作品4冊にも着手する予定です。また、「リアル鬼ごっこ」(山田悠介著)や、「屍人荘の殺人」(今村昌弘著)といった人気作品の翻訳本も刊行しています。

売れる本には共通点があるのだとか
やはり、「タイにはないもの」がキーワードになるかと思います。東野圭吾作品のタイ人ファンが多いのは、彼のようにダイナミックな展開を現実的に描く推理小説家がタイにはいないからでしょう。キャラクター本も、タイでは出会えないデザインや雰囲気のものが好まれます。

今後、翻訳をしたい分野はありますか
これから力を入れたいのは、ビジネス書、健康関連の書籍、そして子ども向け作品です。今のタイには子どもが読むための良質な本が少なく、市場規模も小さいので、どの出版社もあまり目を向けていないのが現状です。しかし、日本には童話などの優れた作品がたくさんあります。近い将来、翻訳本を出版できたら良いなと思っています。

今年は20冊ほど出版する予定なのですが、来年は40冊まで増やしたいですね。また、同時に翻訳の品質向上も図ります。ここ5年ほどタイでは書籍市場が縮小しており、厳しい環境にありますが、推理小説の分野ではベストセラーとされる1万部の販売を目指したいです。

毎年日本を訪れ、その土地ならではの文化を学んでいるという

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