【第71回】高齢者の幸福度「4人に1人が貯蓄無し!」

長谷場:前回、高齢者の収入についてお話ししましたから、今回は高齢者手当の説明からですね。タイでは公務員や国営企業で働いていた場合はしっかりした年金制度があるのですが、そうでない方には高齢者手当を国が支給しています。60歳~69歳には600バーツ、70歳~79歳には700バーツ、80歳~89歳には800バーツ、90歳以上には1,000バーツが毎月支給されます。

ミィ:それだけでは生活できないですね。

長谷場:サラリーマンの場合、雇用者と被雇用者が折半して月給の5%ずつ(合計10%)を負担して最大1,500バーツの社会保障料を納めています。この社会保障を15年払い続けた55歳以上の人には老齢年金として月3,000バーツが支払われます。15年以上払った人は1年あたり225バーツが上乗せされます。

ミィ:現実的なお金の話ばかりでしたが、実際の暮らしぶりはどうなのですか?

長谷場:そうそう、お金がすべてではないですからね。日本では独居老人や孤独死といった言葉が生まれて、高齢者の一人暮らしが問題になっていますが、タイでも高齢者の一人暮らしが徐々に増える方向にあります。1994年には100人あたり3.6人だったのが、2017年には10.8人にまで上昇してきています。

ミィ:10人に1人は一人暮らしなんですね。

長谷場:さらに、高齢者の貯蓄ですが、次の表を見てください。

ミィ:ひぇ〜、4人に1人が貯蓄無し!

長谷場:さらに10万バーツ未満を合わせるとほぼ半分を占めています。100万バーツを超す貯蓄がある方も10.7%いらっしゃいますが、多くの方は貯蓄が少ない状況です。

ミィ:うーん、心配ですね。

長谷場:企業の退職金も労働者保護法で定められている最低限である「10年以上の給料で300日分の解雇保証金」というレベルに合わせている会社が多いです。

ミィ:そうすると、えーと…、60歳が定年で平均寿命が75歳ぐらいなので、平均でも15年間を生きていくには少ないですね。

長谷場:そうですね。国からもらえる高齢者手当は最高でも月1,000バーツ、サラリーマンの老齢年金は3,000バーツ+αですが今の高齢者は社会保険に入っている人が少ない、退職金は300日分の給料、貯蓄は半分の人が10万バーツ以下、さらに支援してくれる子供も少子化で減っている、こういう状態ですね。これだとさすがに老後が不安なので、最近ではプロビデントファンドという退職給付制度を導入している企業もあります。

ミィ:老後は大変そうですねぇ。

長谷場:ところがタイの高齢者が不幸で可哀そうな日々を送っているかというと、どうも違うんです。高齢者に「今あなたは幸せですか? 最高に幸せなら10を幸せでなければ1を10段階の数字を付けてください」というアンケートをした結果が次の表です。

ミィ:うわぁ〜、幸せな人が多い。よかったぁ。

長谷場:タイの高齢者の多くは、お金が無くても日々を幸せに過ごしている。ここにもタイらしさがあるんだなと思います。

—次回に続く