長谷場:前回はThailand4.0というビジョンとIndustry4.0、ターゲット産業、EECの関係を説明しました。

ミィ:20年後を見据えた壮大なロマンですね。

長谷場:その中で、今回はターゲット産業について説明します。

ミィ:優先する産業のことですか?

長谷場:タイ政府は全ての産業に力を入れていくことはできないので、集中してサポートする産業(ターゲット産業)を決めています。ターゲット産業は①既にタイにありさらに発展させる産業、②現在のタイには無くこれから創っていく産業、という2種類に分けています。①をFirst S-Curve、②をSecond S-Curveと呼んでいます。

ミィ:Sカーブ? え、どんなカーブですか?

長谷場:やはり、そこは分からないですよね。実は、私もタイ政府がSカーブという言葉を使い始めたときに分かりませんでした。タイ政府のThailand4.0のイメージを私流にグラフにするとこのようになります。そしてこのグラフにあるような曲線をSカーブといいます。

ミィ:斜めに傾いた“S”ですね。

長谷場:新しい技術やテクノロジーと一般社会への普及という視点でもSカーブの形になることがあります。例えばフューチャーフォン(いわゆるガラケー)とスマートフォンの日本での普及台数をイメージしてください。

ミィ:ガラケーって、懐かしいですね。

長谷場:ガラケーも1990年代は画期的な商品でした。ところがガラケーの中にいくら機能を詰め込んでも限界があるので、やがて似たような製品になったり、みんなが持ってしまうと販売台数の伸びは緩やかになってきます。

ミィ:1台持っていれば、新しいモノが販売されても、すぐには買わないですからね。

長谷場:そこに新たな技術革新(イノベーション)が起こり、スマホが生まれました。そうすると、ガラケーの販売台数は落ちてきて、スマホが急に普及するようになります。

ミィ:あ、そのイメージ。販売台数のグラフの形がS字に近いかもしれませんね。

長谷場:私が生きてきた時代はポケベル→ガラケー→スマホと移り変わってきたのですが、それぞれの販売台数を見るとSカーブを描いていると思います。

ミィ:世代交代ですね。

長谷場:「これからS字を描くカーブを上に向かって伸びていこうとしている産業(First S-Curve)、まだタイには無いけれどSカーブを描く産業(Second S-Curve)をターゲットにしてタイに誘致していこう」、「(国全体に誘致するのだけれど、できる限り誘致する)場所はすでに産業集積があるEECにしよう」、というのがタイ政府のEECに対する基本的な考え方なんです。

—次回に続く

※2018年、週刊ワイズ連載「ミイ泰ビジネスを学ぶ」より
http://www.wisebk.com/