長谷場: チャオプラヤー川の北側から徐々に南下してくる水の塊は時間をかけて次々に工業団地を襲いました。最終的には地図にある7つの工業団地がほぼ完全に被災し、1つの工業団地が部分的に浸水の被害を受けました。

ミィ:なんとか逃れられなかったんですか?

長谷場:タイ政府・工業団地・企業、それぞれの立場で必死に防戦したんですが、押し寄せる水が大量で守りきれなかったんです。

ミィ:すごい量でしたね。

長谷場:タイ政府は軍隊まで出動させて、いくつかの工業団地を守ろうとしました。

ミィ:自衛隊の災害活動みたいで頼もしい。

長谷場:「工業団地は軍隊を出動させて守るから大丈夫だ」というアナウンスをしたんですね。それを聞いて安心してしまい避難が遅れた企業さんがいたことも事実です。
しかし、守れなかった。もし、この時のアナウンスが「時間を稼ぐから、その間に大事なものを高いところに移して」であれば少しは違ったかもしれません。これ以外の政府からの情報も錯綜してしまったことが「人災」と言われてしまう部分だと思います。

ミィ:混乱してましたよね〜。

長谷場:工業団地は排水ポンプを動かしたり、企業の従業員と共に土嚢を積んだりしました。また、企業は急いで物を運び出したり、パソコンなどの電子機器を2階に上げたり、限られた時間の中で対応したんです。中にはコンクリートで壁を作ったところもありましたが最後は敷地内の排水溝から水が逆流して防戦むなしく被災してしまったというケースもありました。

ミィ:7つの工業団地は全滅だったのですか?

長谷場:実はファクトリーランド工業団地にある1社がコンクリートの壁と排水溝を押えることで守り切ったと聞いていますが、それ以外に工業団地内でそのような例を聞いたことが無いです。

ミィ:う〜ん駄目ですかぁ。

長谷場:そうなんです。そして、水が長期間引かないという事が分かってくると、被災した企業の方は「どこか別の場所で生産をしなければならない」と考えます。

ミィ:いつまでも生産ストップという訳にはいきませんものね。

長谷場:その際、問題になったのが「金型」です。プラスチックも金属も大量生産には金型が必要なのですが、時間がなかったため多くが被災する前に避難させることができず、水の中に浸かってしまいました。中には被災した機械に取り付けたままというのもありました。

長谷場:この金型を取り出さないと、代わりに生産できる場所が見つかっても物を作れません。そこで活躍したのが普段は海で活躍しているダイバー達です。

ミィ:淡水ダイビングですね。

長谷場:さらに、日本から駆け付けた排水ポンプ車も大活躍しました。JICA(国際協力機構)による国際緊急援助隊で25メートルプールを10分で空っぽにできるという排水ポンプ車が10台、日本からやってきました。11月19日にロジャナ工業団地で排水を開始。その時点で水深はまだ1.5メートルあったらしいです。

ミィ:そんなに! 被災して1カ月以上が経過しているのに。

長谷場:ところがこのポンプ車は凄かったです。日系企業の方々から「工業団地にあったポンプは音も形も大きいけど全然水量が減らなかった。日本のポンプ車が来たら静かなのに急に水位が下がり始めた。やっぱり日本の技術力は凄い!」という言葉を何回も聞きました。

ミィ:日本の活躍は嬉しいですね。やったー!

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