【第39回】2011年の大洪水(浸水)

長谷場:先週は2011年の9月に雨が大量に降ってダムの水が一杯になったから放水するしかなくなった、という話をしました。しかし、放水された先は非常に平らな土地で既に洪水していた場所もあった訳です。そこに放水した水が加わり被害を拡大させました。

ミィ:えー! そんな〜。

長谷場:9月ごろから「今年の洪水はひどい」というニュースが流れていたのですが、私も含めて多くの日本人もタイ人もあまり気にしていなかったと思います。長くタイにいるミィさんなら分かってくれると思いますが、タイで「洪水」と言っても「いつものこと」というイメージだからです。

ミィ:スコールの冠水とゴッチャになってます。

長谷場:ところが、2011年10月4日にサハ・ラタナ・ナコンの工業団地が最初に被災し、続いて少し南にあるロジャナ工業団地が10月9日に被災しました。この時にヘリコプターから撮影されたモータープール(生産された車を置いておく場所)に置かれた車が水に浸かり、屋根だけが映った映像や写真を見て、初めて事の重大さに気付いた人が多かったのではないでしょうか。

ミィ:はい、あれは衝撃的でした。早く逃げなきゃって、もうパニックでしたよ。

長谷場:実は海からサハ・ラタナ・ナコン工業団地まで直線で100km以上あります。これは東京駅から富士山頂までの直線距離とほぼ同じ距離です。

ミィ:100kmって結構な距離なんですね。

長谷場:5年前に被災した工業団地の中で最も内陸(北)にあるサハ・ラタナ・ナコン工業団地の方に「今年、洪水が来ても大丈夫ですか?」と聞いたら、「大丈夫です。海抜7.5mの洪水に耐えられる土手を作り、いざとなれば、さらに1m高くできるようにしています」という説明を受けました。

ミィ:え? 100km内陸で海抜7.5mの壁で大丈夫? そこの海抜はいったい何メートルなんですか?

長谷場:なんと、3.5〜4.5mということでした。

ミィ:え? 100kmでたったの4m?

長谷場:実はチャオプラヤー川流域だけでなく、タイのかなりの土地が標高の低い平地なんです。そのためタイの国土面積は日本の1.4倍しかないにもかかわらず、世界1位か2位の米の輸出量を維持できているんです。冬もないので2回以上お米が作れますしね。さらに地震も少ない非常に恵まれた土地だといえます。しかし、洪水については大きなリスクを負っている、という訳です。

ミィ:どういうことですか?

長谷場:土地が平らなので、日本の洪水とタイの洪水はタイプが全然違うんです。日本の洪水は鉄砲水のように水の勢いで家が流されてしまうというイメージですが、タイの洪水はプールに水が溜まるみたいに、少しずつ水位が増えてきて何時間もかけて建物の1階部分が完全に浸水してしまう、という感じです。

ミィ:ああ、そうでしたよ〜。ゆっくりゆっくり水が迫ってくるような感じでしたよね。ドンムアン空港まできた、チャトチャックまできたって。毎日ニュース見てました。

長谷場:日本の洪水だと建物が流されますが、2011年の洪水のときに「工場が水で流された」という被害は聞かれなかったです。しかし、一度浸水してしまうと非常に平らで標高が低い土地なので、水が引くまでに1カ月~2カ月かかってしまった、という状況でした。

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—次回に続く

※2018年、週刊ワイズ連載「ミイ泰ビジネスを学ぶ」より
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