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【第26回】BOIタイ投資委員会(オイルショック)

長谷場:1972年に制定された投資奨励法ですが、この法律とほぼ同時に制定された外国企業規制法と併せて「タイ政府が外国企業を選んでタイに入れていきましょう」という「選別的外資導入政策」を本格的に開始しました。これで上手くタイ政府の狙い通りの結果が出ればよかったのですが、世の中そんな簡単には行かないモノで…。

ミィ:最近はBNKを知ってる人が増えてきましたよ♬

長谷場:そうそう、街中やテレビで曲を頻繁に耳にしますよ。いいですよね。
さてさて、最初の問題は、1973年10月に第4次中東戦争が起きてしまったのです。世界経済に「石油危機」という形で大きな影響を与えることになります。

ミィ:学校で、オイルショックと習いましたよ。

長谷場:そう、この戦争は1973年10月6日に開戦して10月24日に国際連合による決議を受けて停戦しましたが、10月16日に石油輸出国機構(OPEC)の一部の加盟国が石油の値段をそれまでの3.01ドルから5.12ドルへ約70%引き上げ、さらに1974年からは11.65ドルに引き上げました。

ミィ:3ドルから11ドル65セントって、たった1カ月半で約4倍ですか!?

長谷場:はい。日本もその影響で1974年の消費者物価指数が23%を超えるインフレに見舞われました。石油は「エネルギーや素材の源」なので、石油価格が上がってしまうと多くのモノの値段が上がってしまったのです。タイもこの影響で1973年には10%を超えていた経済成長率が74年、75年と4%代にまでに落ち込んでしまい、不況に陥ってしまいました。

ミィ:ショック……、まさにオイルショック!

長谷場:タイは石油危機に加えて、国内で労働争議が頻発、カンボジアで極端な共産主義を掲げるクメールルージュが台頭してベトナムと1975年から衝突・戦争に発展してしまいます。これでは怖くて外国企業が進出したいと思える状況ではなかったので外資の進出が激減してしまいました。

ミィ:近くで戦争がおきていたら巻き添えになりたくないですよねー。

長谷場:この結果、タイ政府は「何とかしないといけない」ということで、再び外資誘致を政策の中心に考えることになります。この流れで改正されてできたのが1977年の新投資奨励法です。主な改正点は表のとおりです。そして、2001年と2017年に少し改正されて現在でも使われています。

ミィ:40年以上も使われているんですね。

長谷場:はい。法律としてはずっと続いているのですが、運用面はその時々に合わせて何年か毎に変更されています。1977年投資奨励法の主なポイントは次の表のようになっています。

①タイ投資委員会(BOI)の委員長をそれまでの「内閣が任命する」となっていたのを「首相」と明記。
②法人税免税期間(3〜8年)を通じて損失を計上した場合、免税期間終了後5年以内の利益から控除可能
③BOIは投資可能性調査のため来タイする外国人を対象にビザ・労働許可書を付与可能

首相がトップになったことと、さらに法人税の免税を企業に付与することが可能になったことで、BOIの権限がさらに強化されたことがポイントですね。

—次回に続く

※2018年、週刊ワイズ連載「ミイ泰ビジネスを学ぶ」より
http://www.wisebk.com/