【第11回】アジア通貨危機(Part02:血塗れのバーツ)

長谷場:前回は1997年6月まで1ドルが24.5バーツと決められていたという話をしましたね。

ミィ:固定相場ですよね。早く超お金持ちの話しを聞かせてくださいよー。

長谷場:あわてないの、順番に説明するから。えーと、その当時は、銀行が預金に対して10%も金利を付けるから、企業がお金を借りようとするとそれ以上の金利を返さなくちゃいけなかったのです。

でも、そのころのタイ経済は少し前に話したように、とても調子が良かったので世界からお金が集まっていました。逆に言うと、タイの企業はドルでたくさんのお金を借りていたんです。

ミィ:借金が沢山って嫌な感じですね。

 長谷場:そう。ここまで説明してきたようにこの仕組みは「タイ政府が大量のドルを持っていて、いつでも売られたバーツを決まったレートでドルと交換する」ことが前提です。でも、どこの国もそうですが無限にドルを持っている訳がありません。極端なことを言うと自分の国の通貨なら印刷すればいいけど、ドルは他国の通貨だから何かを売って稼がないといけません。

ミィ:じゃあ、ドルが無くなっちゃうことも?

長谷場:そう。そこに目を付けたのがヘッジファンドといわれる人達。彼らはお客さんからお金を預かって運用して、儲けをお客さんに配るというのがビジネスです。

ミィ:お金を預けたら増やしてくれる人、ってことですか?

長谷場:そうそう。

ミィ:イイ人じゃないですかぁ、私も預けたーい。えへへ。

長谷場:コラコラ、単純な話ではないのですよ。ヘッジファンドのお客さんから見るとそういうこと。でも、この人達はこのタイの通貨政策の矛盾に目をつけて、1997年5月からタイバーツを売りまくったんです。人からバーツを借りてきてでも売る。そうするとタイ政府は1ドル24.5バーツというレートを守るためにドルをどんどん手放さざるを得ない。

そして1997年7月2日についにタイ政府の保有していたドルが無くなってしまいました。

ミィ:えー、本当に無くなったんですか? 大変ですね。で、その後は?

長谷場:もうタイ政府にはドルが無いので売られるバーツを買うことができない。そのため、市場で政府以外の買い手が現れて売られるバーツを買うことでレートが決められていくしかないんですね。

 でも、そういう状況ですから、その時のバーツは通貨としての信用を失ってしまっていたので暴落していくしかなかったのです。この時の惨状から「血塗れのバーツ」なんて言われたんです。

ミィ:ひー! やだよー。

長谷場:では、どのくらい暴落したのかは、また次回。

—次回に続く

※2017年、週刊ワイズ連載「ミイ泰ビジネスを学ぶ」より
http://www.wisebk.com/