【第31回】コンサルタントに丸投げする会社に将来はない(前編)

『申し訳ない。御社をつぶしたのは私です』。こんなショッキングな題名の本がある。現役の経営コンサルタントのカレン・フェラン氏が著した本(2014年3月初版、大和書房)である。元々、欧米系の経営コンサルタントのやり方に大きな疑念を持っていた私は、数年前に日本に出張した時にこの本を見つけ、半日で読み終えてしまった。

コンサルタントの上手な使い方

米国では転職が頻繁に行われ、従業員の定着率が悪いため、そもそも社内給与モデルなどない。コンピュータープログラマーや経理職など職務によって給与水準は、市場の需給関係で決定される。また転職が激しいため、社内の人材開発など行われていない。

個人のスキル習得は、少しでも高い収入を得ようとする個人レベルの動機から行われている。そのため、米国の会社には社内の人事権を差配するような日本流の人事部はなく、わずかに保険、年金、納税などの事務を行う部門があるだけだった。少なくとも私が米国勤務から帰任した1994年末までは、米国の社会はこんな感じであった。

今回は、私自身の米国での体験などをもとに、コンサルタントの上手な使い方について述べたいと思う。

まるでダイエット商法

米国から帰国してみてびっくりした。米国のコンサルタント会社が日本の銀行向けに人事セミナーを行い、その中で能力評価制度、職務給(職務と肩書に合わせて給与が上下する)、人材開発プログラムなどを、米国で一般的に行われている仕組みとして紹介しているのである。

当時の日本には「アメリカで行われていることはすべて正しい」とする風潮があったのだろうか? それにしても、売るためには平気でうそをつく欧米系コンサルタント会社(1社だけではない)には、それ以来信用がおけなくなっている。

こうした個人的体験を持つ私にとって、フェラン氏が書いたこの本と出合ったことは、コンサルタント業務についての考え方を整理出来た貴重な機会となった。同氏によると、80年に米国の有名な経営学者マイケル・ポーターによって提唱された「競争の戦略」が当初の経営コンサルタントのツールとなったようである。

この後、コンサルタントたちは開発されたツールで金を稼ぎ終わると、次々と新たなツールを開発し、顧客に売りつけていくようになった。年代順に挙げると、「コアコンピタンス(他社との競争のなかで優位性のある中核事業)」「ビジネス・トランスフォーメーション(業務プロセスや事業構造を抜本的に見直し変革すること)」「リエンジニアリング(ビジネスプロセスを再構築すること)革命」「KPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)」「ヒューマン・アセット・マネジメント(効率的な人材管理)」など、馴染み深い言葉が並ぶ。

そして、こうしたコンサルティング理論に次々とはまっていく様子を、フェラン氏は「華麗な言葉で人々の欲望を刺激し、手を変え品を変えて物を売りつけるダイエット商法と同じだ」と斬りつけたのである。

—次回に続く