製造業においては、原価計算や進出場所の詳細について検討がなされていないケースもある。日本より土地の値段や工場建設費用が安いからと言って、安易に進出を決めるケースが見受けられるが、今後進出する企業が競合するのは、既に数年前にタイに進出している日系企業ならびにすでに力をつけたタイの地元企業なのである。

「進出目的は何か」相応の覚悟を

一方、非製造業の場合、タイ資本51%超が基本となるため、さらに問題が難しくなる。工場製品の販売などを手がけるケースは、わずかでも製造の一部をタイに移管し、製造先として日本資本100%で登録することが最も良い方法である。また、タイ投資委員会(BOI)の特典を利用するケースもありうる。能力が高く、きちんとしたコンサルタントを活用すれば、何とかこうした道を見つけてくれる可能性がある。

しかし、飲食業などのサービス業の場合、日本側の独資は道が閉ざされており、タイ側のパートナーを見つけ出さねばならない。この場合、一般的に以下の4つの手法が採られる。

● 同業種のきちんとしたパートナーを探す
● 資金は全額日本側で出すが従業員などに名目上の株主になってもらう
● タイ人コンサルタントに出資してもらう
● 日系金融機関や商社の子会社に出資してもらう

日本のサービス業がタイに進出する場合、これら4つのうちどれにするか検討する際、簡便性の議論に終始するケースが多いが、どれもそれぞれにリスクがあるため、会社の進出目的に合わせた選択をすべきである。

「タイのことがよくわからないため、店舗進出などの営業戦略や人事管理など難しい問題はタイ人パートナーに任せたい」として、同業種のパートナーを求めるケースがある。こうした進出の覚悟のできていないケースは、往々にして失敗に陥る。タイ人パートナーは、日本側の製品のノウハウとブランドさえ手にすれば、早々に日本側パートナーを追い出すかもしれない。最近になり日本食レストランの突然の閉店を目にすることがあるが、話を聞いてみるとタイ人パートナーとのトラブルのケースが究めて多い。

また、従業員の名義貸しやタイ人コンサルタントのケースも同様である。タイ人コンサルタントを使った場合、事業拡張にあたって増資ができないケースも出てくる。一方で、日系金融機関や商社に応援を頼んだ場合は、しっかりとした利益の捻出が要求される。

—次回に続く