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JICA 国際協力機構「タイの方々から感謝と期待の声」 宮崎 桂

「タイの方々から感謝と期待の声」

《プロフィール》
タイ事務所 所長
宮崎 桂
みやざき かつら
■1965年生まれ、東京都出身。大学卒業後、都市銀行勤務を経て1992年JICAに転職。これまでの海外勤務はアルゼンチン事務所。直前の部署はJICA本部のジェンダー平等・貧困削減推進室長。
■座右の銘: 誰も取り残さない
■愛読書:ケン・フォレット、ジェフリー・アーチャー、トム・クランシー、ネルソン・デーミルなど欧米作家の小説
■趣味:旅行の計画を立てること、映画鑑賞、ワイン
■バンコクの行きつけの店:El Mercado, 自宅近くのカフェ(Sometimes I Feel)
■休日の過ごし方: 身体のメンテナンス(ピラティス、マッサージ)


20年ぶりの海外赴任だそうですね

大学時代からスペイン語を専攻していたこともあり、JICA入構後はスペイン語圏のアルゼンチンへ赴任しました。

その後、約20年間、東京本部で勤務。

海外出張は度々ありましたが、長期の赴任は久しぶりです。

何より、タイという国は予想していなかったので、青天の霹靂でしたよ。

タイとJICAの付き合いは古く、ここまで発展したことから、「そろそろJICAの使命を終えてもよいのでは?」という声もあるでしょう。

実際に私も来タイ前はそう思っていましたが、その考えは変わりました。

赴任後、タイの方々の多くから、これまでの日本への感謝とこれからの期待の声が多く聞かれました。

中国などが国を挙げてタイへ進出してきている中、タイ国民の声をどう吸い上げ、日本としてどう貢献するかを日夜、考えています。

JICAの役割とは?

大きく分けて4つあります。

交通セクターへの協力、産業人材育成、高齢化対策を含む保健医療・社会福祉、気候変動対策です。

1つ目の交通セクター事業では、主にバンコクの都市鉄道などの新路線開発の計画作りと、資金提供の面で協力しています。

そこには沿線開発や「駅ナカ」開発も含まれ、総合的な支援になると認識しています。

5月から始めたのが「交通渋滞対策」です。

バンコクの戦勝記念塔を含む1区画で、信号システムの改善に取り組んでいます。

バンコクは自動車数が多く、渋滞は避けられないのですが、交通警察による手動の交差点を自動化すれば改善できます。

ただ、交通警察の雇用をどうするかなど、諸課題は残っているものの、将来的には日本の交通管制システムを導入できるプランを作成する予定です。

ODA(政府開発援助)は対象外?

タイはODA対象国ではありますが無償資金協力の対象国ではないですし、有償でも資金協力することが少なくなってきているのは事実です。

過去の有償資金協力、いわゆる円借款に対して、タイは確実に日本へ返済しています。

ただ、まだまだ課題はあります。

その一つが貧富や地方とバンコクの差です。

プラユット首相が格差是正に乗り出すと明言している以上、JICAも貢献していきたいですね。

逆に、タイの方が先進的で優れているサービス、例えばFINTECなどを日本に逆輸入するといった、相互関係を活用し、両国発展に寄与することもミッションと考えております。

前所長時代から続く大仕事は

バンコク中心部と近郊を走る高架鉄道や地下鉄といった都市型鉄道には、マスタープランというものがあります。

パープル、ピンク、イエロー、オレンジなど色で区別された鉄道計画ですね。

これまでタイ政府は、マスタープランに沿って計画を進めてきましたが、実は次の20年に向けた計画がすでに進んでいるんです。

それが「M-MAP2」というブループリントです。

このブループリントを材料にタイ政府が新しいマスタープランM-MAP2を策定する予定です。

世界的に持続可能な開発目標(SDGs)が叫ばれています。

SDGsは、JICAにとって大きなミッションです。

先日開かれたタイ、ベトナムなどメコン川流域5カ国との外相会議で、河野太郎外務大臣(当時)も達成に向けた協力を約束しています。

SDGsには、17のゴールと169のターゲットがあり、中には「貧国を撲滅する」「〇〇を全廃する」など、野心的な目標が書かれています。

本気で貢献を考えるのであれば、数値目標を達成するための具体的な計画が必要でしょう。

すでに、本格的に取り組んでいる民間企業もあり、例えば吉本興業さんは安倍首相からSDGsに対する特別賞を受賞しているんです。

JICAの協力隊員が派遣されている障害者施設へ、所属芸人を派遣し、特別授業などをして頂いています。

落ち着いて座っていられない知的障害を持った方が、パフォーマンスを食い入るように見ていたそうです。

今後もそうした活動を一緒に続けて行きたいですね。

 

「日本人とタイ人が力を合わせてタイの開発に貢献できればと精進しています!(ソンクランの際の水かけまつりでの1枚)」