【第47回】考えて、考えて、考え抜こう!(後編)

幸いにもスティーブ弁護士の作戦により、法定闘争は私たちに有利に進み始めていた。こうした中で、D社は起死回生策として、私の証人喚問を要求してきた。私たちとしては避ける手立てはない。
私たちとしては避ける手立てはない。しかし私が日本人であるために、通訳をつけることになった。また、通訳がつく証人審問であるため、かなり時間がかかるという理由でスティーブ弁護士はB判事抜きの証人審問を提案。これが承認されたのである。

私の証人喚問

いよいよ証人審問当日。私は緊張してその場に着いた。証人との癒着を避けるため、当日になって選定された通訳とお会いしたが、英語は出来るが金融については全くわからない人である。
A弁護士の質問に対して私が日本語で答えるが、これが通訳を通じてちんぷんかんぷんな回答となってしまう。最初は私もまずいと思い、通訳の英訳を自分で直したりしていたが、相手側はもっと混乱をしている。通訳を通した回答からはまともなものが出てこず、まるで禅問答。更に通訳を介して時間がかかっているため、相手側はじれまくっていた。
6時間ぐらい経過した頃、売れっ子のA弁護士は他の係争案件に行かなくてはならなくなり、途中で審問が終了してしまった。後にこの事実を知ったB判事は、A弁護士の態度に激怒。裁判は決定的に我々に有利になった。
この後、D社は私たちと争う姿勢を取り止め、「なるべく多く東海銀行に返済を行おう」という態度に変わった。最終的にはD社と和解し、最小限の損失に抑えることが出来た。

知力を尽くして闘う

私は、この係争でスティーブ弁護士と共に働いたことにより、「知力を尽くして闘う米国の裁判闘争」を経験出来た。裁判が始まる前に彼の言った「時間と金と知力をつぎ込んだ者が必ず勝つ」というのは正しかったのである。
一方で、自分の立ち位置、相手の状況、判事の性格などを徹底して分析して、的確な判断が出来たからの勝利である。
どんな目標、どんな状況においても「考えて、考えて、考え抜く」ことを行えば、必ずや結果が伴ってくると思っている。
私のもとで働く人たちの中から何人こういう人が育ってくれるか楽しみである。


おざわひとし。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住21年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。現在ウェブマガジン「ニュース屋台村」に記事掲載中。
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