【第44回】老人よ! 大志をいだけ地域再生への提言(その4)

ここで私が注目するのは、いまだ元気な老人パワーの活用である。私の学生時代の友人で元日本銀行理事、オフィス金融経済イニシアティブ代表である山本謙三君は人口や労働力動向について極めて鋭いレポートをたくさん書いている。

昔より働かず元気な今の老人たち

 ここで私が注目するのは、いまだ元気な老人パワーの活用である。私の学生時代の友人で元日本銀行理事、オフィス金融経済イニシアティブ代表である山本謙三君は人口や労働力動向について極めて鋭いレポートをたくさん書いている。
 NTTデータ経営研究所取締役会長時代の2014年3月3日に書かれた「コラム・オピニオン」に掲載された彼のリポート「長生きになって、むしろ働かなくなった高齢層~~平均寿命と労働力人口比率」もインパクトのある分析である。正確を期すため、ここでは彼の原文をそのまま引用する。
「まず平均寿命の推移をみてみよう。世界各国とも寿命の伸びが著しいが、なかでもわが国の長寿化は際立つ。1965年から2012年にかけて、男性で67.7歳から79.9歳へ、女性で72.9歳から86.4歳へと長寿化した。男女あわせてみれば、先進国のなかでも群を抜くスピードだ。」
「データが遡れる1968年時点をみると、65歳以上の労働力人口比率は33.5%だった。これが2013年には20.5%まで低下している。このうち男性だけをとってみると、52.1 %から29.4%への大幅な低下だ。65歳時点の平均余命は、この間に6〜8年伸長している。つまり、平均余命が延びたにもかかわらず、働こうとした人の割合はむしろ大きく低下したことになる。」
 なんと今の老人は、昔の老人より働かなくなったのである。こうした元気な老人たちにもう一度働いてもらうことが、地域活性化の道だと私は考える。老人は体力が衰え、頑固になっていくという欠点がある。
 一方、金や時間に余裕があり、また長く生きてきたことによる経験とノウハウを持ちあわせている。

老人は有効に活用できる

 こうした老人を有効に活用できるいくつかの可能性を提示したい。
 第1は、定年退職後の起業である。老人たちにはノウハウ・経験があり、かつ子供の養育が終わっているため若干のリスクもとれる。こうした人たちに積極的に起業してもらうのである。簡単に起業できる仕組みづくりや支援などは地方自治体の仕事である。補助金がなくてもできる仕事である。
 老人が積極的に関与してほしい領域の2つめは、教育育児関連の仕事である。前述のように特定産業を目指した産学協働を図っていくとすると、一貫教育の中で積極的に実際の技術を伝授していく必要がある。
 経験、ノウハウを持つ老人たちは、こうした技術を若い人たちに教えていくのである。技術者でなくこうしたものが教えられないという人でも、語学ができれば海外留学生の受け入れを行えば良い。こうしたことにも自信がないなら、各会社内に併設していく託児所で子供の面倒を見れば良い。会社内の託児所であれば、いざという時は親御さんに助けを求めれば良いのである。
 第3の仕事の場は、ベンチャーキャピタルの創設である。老人は日本の人口動態の中では、富裕層である。こうした老人の持っている資金を集め、その地域の産業育成に出資してもらうのである。もちろん地方銀行は、このベンチャーキャピタルの設立・運営に積極的に関わっていかなければならない。
 こうやって産業が興ってくると、次々と働ける場所が広がり若い女性が定着する環境ができあがってくる。地域再生のためである。
 今こそ老人よ! 大志をいだけ!