【第42回】一つの道をひたすら突き進む地域再生への提言(その2)

第1に、行政はその選択した産業のために、インフラ整備と徹底した規制緩和に動くのである。特定産業への無償工業団地の供給でも良いし、無用の長物と化してしまった市庁舎や公民館の無料開放でも良い。

インフラ整備、規制緩和、産学連携

現に台湾当局などはIT産業のための工業団地の開発・提供を積極的に行っている。また、特定産業育成のためには過剰保護となっている規制を緩和し、世界と競争条件を同一にする必要がある。安易な補助金施策は一切やめるくらいの覚悟が必要である。
補助金施策をやめれば地方行政に携わる人々も自らが考え自らが動かざるを得なくなる。その方がよほど生産的である。
第2に、地方大学との産学連携が必要となる。その地方の大学は、選択した基幹産業にかかわる学問を重点的に取り扱い、産業での共同研究を積極的に行っていく。特定産業に関わるノウハウを産業と大学が共同してその地方に蓄積していくのである。これらによって大学のレベルもあがっていくことを期待したい。
もちろん、アジア、中東などの優秀な学生を積極的に受け入れると共に、大学生たちもどんどんインターンとして、海外に送り出すべきだ。海外に適応する人材を地方で育てるのである。

ベンチャーキャピタルの創造、住民の理解と支持

第3に、地方銀行が中心となってベンチャーキャピタルを創造することだ。このベンチャーキャピタルは銀行自身が資金を供給するのではなく、その地方の資産家から資金を募り、将来有望と思われる企業を支援していくのである。銀行自身が資金供給者となると保守的態度を貫き、ベンチャーキャピタルとはならないからだ。
地方銀行は将来性のある企業の目利きが要求されると共に、地方の資産家への説明責任を請け負う。地方もしくは中央政府は当然のことながら、ベンチャーキャピタルへの設立について税制上の恩典を付与する。新たな産業育成に対して、金融も側面支援をするのである。
第4に、住民全体の理解と支持をとりつける必要がある。ファッションで有名なイタリアのミラノなどでは老若男女を問わず、住民がこぞって流行の洋服を身にまとい、宣伝を行っている。
また、観光地として有名な大分県由布院では、住民が一致団結して暴力団を追い出し、景観規制を制定。その過程では暴力団に随分脅かされたりしたが、住民が暴力団への土地売却を拒み、パチンコ店を閉店に追いやったことなどを聞いている。
それでは、こうした基幹産業育成の試みは誰が行っていくのであろうか? 私は行政職の方々がこうした事業を主導するのは難しいと考えている。産業が産業として根づくためには、永続的な発展と利益の確保が必要である。こうしたことをやっていけるのは、民間の企業家精神を持った人だ。
先に例にあげた大分県由布院のケースでは、温泉宿の経営者3人が互いの競争心を乗りこえて手を結び、街の人たちの先頭に立って観光地としての名声を手に入れたのである。
この事例を考えると、地方の基幹産業育成のためには、その土地のやる気のある民間の方たち3~5人を集め、その人たちを中心に施策を打つことが最も現実的ではないだろうか?
こうしたやる気と能力のある人たちを見つけ出し互いに結びつける作業は、個人的には地方銀行に積極的に担っていただきたいと思っている。