JAC リクルートメント タイランド「タイ人役員がローカル人材を最大化」

JAC リクルートメント タイランド「タイ人役員がローカル人材を最大化」

「タイ人役員がローカル人材を最大化」

《プロフィール》
マネージングダイレクター
山下 勝弘
やました かつひろ
■1974年生まれ、兵庫県出身。関西学院大学卒業後、近畿日本ツーリスト、キャリアデザインセンターで営業やマネジメントを経験。2012年、マネージャーとして同社に入社。13年10月から現職。
■座右の銘:迷ったらやる
■愛読書:「ティール組織」「LIFE SHIFT」
■バンコクの行きつけ店:元々武蔵
■休日の過ごし方:テニス、マッサージ


タイ人従業員との意思疎通に悩む企業は多いのだとか
そうですね。タイの日系企業の採用をお手伝いする中で、そういった相談がある取引先は多いです。ただ、明確に課題として認識している会社ばかりではなく、話を聞いているうちに問題が浮き彫りになる企業もあり、必ずしも問題が顕在化しているとは限りません。我々が把握している以上に、現地の社員との接し方に苦慮している企業は多いのだと思います。

具体的にはどのような問題が起きますか
まず、トップの方針をタイ人含めた全社員に浸透させるのに大変苦労するでしょう。ほとんどの経営者は身に覚えがあると思いますが、タイ人には「グレンチャイ」と呼ばれる独特の考え方があり、日本の仕事観とは大きく異なります。例えば、タイ人の「良い報告をして上司を喜ばせたい」との良心があるために、「悪いことは伝えない」「本音を言わない」という問題が起きたりします。また、タイ人に業務連絡して、「わかった」と理解を示されても、実は正確に伝わっていないといったケースも多々あります。概して言うと、「従業員は経営者が何をしたいかを理解しないまま、経営者は従業員をどう動かせば良いかわからないまま、仕事を進めざるを得ない状況に陥りがち」と言えるでしょう。

解決策は無いのでしょうか
私自身もタイの現地法人トップとして5年強もの間、この問題に取り組んできました。その中で実感するのは、日本式の管理方法ではタイ人が機動的に動かないということです。これは日本とタイの間にカルチャーギャップがあるからと考えています。  そこで、当社は今年1月からタイ人のWaykin君を役員に据え、タイ人社員の司令塔の役割を与えました。すると、経営陣の方針が速やかに従業員へ伝わるようになり、業績向上に大きく寄与したのです。

優秀な現地従業員を採用するには
よく聞くのが、せっかく良い人材を確保しても、欧米の現地法人に転職してしまうというケースです。欧米の企業は国籍関係なく、優れた人材が出世できる風土があるためでしょう。 実は、日本の現地法人でタイ人を役人にしている会社はほとんどありません。役員に上り詰められる人材が見つからないか、キャリアアップの見込みが薄いために外部へ流出しているかが考えられます。いずれにせよ、タイ人にもキャリアアップの門戸が開いていると対外的に示さないと、秀でた従業員は集まらないでしょう。 また、優秀かつ「日本語が話せる」という条件で人材を探すと、該当者は極端に減ってしまいます。当社のタイ人役員は日本語が話せませんが、代わりに異文化への理解力や論理的思考能力が高いと感じています。語学力は魅力的ですが、マネジメント力や企画力など総合的に人材を評価し、経営者候補を探すと、本当に欲しい能力を持った人材が見つかるかもしれません。 すでに社内で幹部になりうる人材が在籍している可能性も見過ごしてはいけません。当社のWaykin君はもともと、役員候補としてリクルートしたわけではありませんでした。2015年にアユタヤ支店のマネ−ジャーとして入社しましたが、彼の働きには目を見張るものがあり、その頑張りに見合う評価を与えた結果が、役員就任だったのです。入社年数や語学力で出世を遅らせていたら、彼もどこか別の会社に転職していたかもしれないと、今になって思います。

異文化コミュニケーションがいかに重要か、身にしみます
しかし、それが海外で働く醍醐味でもあります。もともと私が来タイした理由は、世界中どこでも働けるように異文化への対応力を磨くことにありました。私が当社に入社した際、タイ人と日本人の違いに大いに驚いたと同時に、「やりたかったことはこれだ!」と感動したのを今でも覚えています。乗り越えるべきカルチャーギャップはまだありますが、一歩ずつクリアしていき、転職支援サービスの品質向上につなげていきたいです。

山下氏が信頼を寄せるWaykin氏(右)