十勝大福本舗「タイ産あんこの将来性に光」

十勝大福本舗「タイ産あんこの将来性に光」

「タイ産あんこの将来性に光」

《プロフィール》
専務取締役兼現地法人「SUNFLOUR TOKACHI」MD
髙間 主税
たかま ちから
■1969年生まれ、北海道函館市出身。2003年7月まで北洋銀行に所属し、同年8月に十勝大福本舗入社、17年5月タイ法人を設立。同時期より現職。
■尊敬する人:父
■趣味:海釣り
■休日の過ごし方:ランニング
■愛用の腕時計:Apple Watch
■社用車または愛車:LEXUS RX450h F SPORT


海外初進出の地にタイを選んだ理由
人件費抑制や人口が増えている市場価値としての東南アジアの拠点ということもあるのですが、もち米や砂糖、小豆などの原料を現地で調達できるところが魅力的でした。日本国内の事業では輸入原料に頼らざるを得ないのが実情です。海外でも同じように原料を輸入するのでは、海外に生産工場を持つ意味が薄まりますから。

また、海外進出を検討し始めた2015年はASEAN経済共同体(AEC)が発足した年で、域内6億人という巨大な消費市場としての価値に注目が集まっていた頃で、「地政学的にもタイに工場を建てたら、生産・消費の拠点として面白い」と思い、市場調査に乗り出したのを思い出しますよ。

当時を振り返っていかがでしょう
日本や先進国にあるスイーツ文化が浸透できておらず、コールドチェーンも発展途上でしたので、「市場開拓の余地はあるな」と感じました。当時、売り場にあるのは、ほとんどがバターケーキかホイップクリームケーキのみ。また、これだけ気温が熱いのに、チルド物流がしっかり整備されていませんでしたし、店の品質管理もまだまだでした。

「これは逆にチャンス」と思いましたし、日系企業もそれほど進出していませんでしたから、タイでは得意の和菓子にこだわらず、洋菓子も開発・製造することを決めたんです。肝心の衛生管理面も、日本が通ってきた時期と重ね合わせながら根気よく教育し、改善させながら工場設備を進めてきましたよ。

当初は、受託製造を中心に行う方針でしたが、タイの食品展示会で商品を提案したところ、予想以上に手応えがあり、「これならば腰を据えて事業展開していこう」と改め、日本で売れている商品を強引に売り込むのではなく、タイ現地に根付き、東南アジア特有の気候や嗜好に合わせた商品開発を続けたいと切り替えたんです。

いよいよ工場が稼働しましたね
工場が竣工し、製造許可が下りたのは今年1月末です。まだまだ稼働して日が浅いので、オペレーションなどを試行錯誤しているところですね。初年度の売り上げは2〜3億円になるかと思いますが、フル稼働すれば、10〜20億円ぐらいの規模は用意しています。先ずは、今年2月にオープンしたタイの日系商業施設、5月1日からは「セブン-イレブン」で「大福」の販売を開始していますが、製造体制が整い次第、他のチェーン店にも販路を広げたいですね。

タイで製造した商品を日本に輸出することもありそうですが
そうですね。日本はデフレが進み、価格競争が激しくなっています。そうなると、あとは企業がどれだけ我慢できるかの体力勝負。しかし、タイで“あんこ”を安く製造できるようになったため、その点は有利かなと思っています。現在、高品質な十勝産と廉価品のタイ産とでしっかり棲み分けしようと働きかけています。
そんな中、今年は日本の小豆が不作で、価格が高騰しました。本来なら大幅なコスト増を覚悟しないといけません。そんな中、弊社はタイであんこにし、原料で輸入するよりも低い税率で手配できました。価格は十勝産あんこの半分です。

また、タイ産あんこを製パン業者などに原料として販売する計画もあります。というのも、タイ産あんこは安いだけでなく、本当に美味しい。一度、中国産小豆で試作したあんこと比べたのですが、タイ産のあんこのほうが遥かにうまいんです。価格の優位性もあるので、ビジネスとしての可能性を感じていますよ。

タイ産あんこを使ったスイーツが日本でも販売されますか?
来年は、東京オリンピックもありチャンスだと思っています。大勢のイスラム教徒の来日が予想される中、日本でハラール認証製品を製造するのはいろいろ難しい部分があります。一方、タイの工場では比較的簡単に認証が取れ、ムスリム向けスイーツをこちらで作り、日本に輸出すれば、新たな可能性が見えてくるでしょう。

これぞニッポンのスイーツ「クリーム大福」