タイの経済成長戦略「タイランド4.0」の中核構想EECとは?

タイの経済キーワードで最も目にするのが「EEC(Eastern Economic Corridor/東部経済回廊)」構想でしょう。これは、プラユット暫定政権が、中進国の罠からの脱却を掲げ、2016年に掲げたタイの新産業戦略“タイランド4.0”の中核計画です。

タイ東部の3県(チャチューンサオ、チョンブリー、ラヨーン)にまたがり、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)といった次世代自動車をはじめ、医療、航空、ロボットなどのハイテク産業の特定業種の投資促進と陸海空インフラなどを一体的に開発する構想です。

タイ政府は今後数年間で、同地域に1兆数千億バーツの投資を官民で行い、地域のさらなる発展を図っていきます。

当然、“民”の中にはタイ企業も含みますが、次世代を掲げる以上、頼みの綱は先進諸国のチカラ(外資)となり、国を挙げて投資促進を求めています。そのため企業にとってのメリットとして新たなEECにおける投資奨励措置があるのです。

EECが付与する恩典としては、中でもEVの組み立てや重要部品の製造に対しての最長10年間の法人税免除。PHVは同最長6年間を免除する他、輸入機械の関税を3年間免除とします。

さらに、重要部品に対しては、法人税の8年間の免除に加え、さらに3〜5年間、法人税を 50%減税とする恩典が受けられます。ただし、工業地区によって、3年間の50%減税もあります。厳密に言いますとEEC-iに立地する場合、免税期間自体が延長になる恩典もありというわけです。

政府主催のセミナーではソムキット副首相が、「まずは、交通(鉄道・道路)、通信を含めたインフラ整備を進め、域内の観光、ビジネスの両面でタイ国内外とのハブを目指す」と話し、ウッタマ工業相が補足として「EECをハブに、タイの経済構造は劇的に変わる。

そのためには、デジタル技術が必須だが、それについては金融支援をはじめ、スキルや非金融などあらゆる支援を施す」とこれまでの税免除だけではない、手厚い支援体制の構築を示唆しています。

最も注目されるインフラとしては、EEC域内をハブとするための3空港を結ぶ高速鉄道(物流専用複線化を含む)事業があります。同プロジェクトは総延長220kmで、ドンムアン国際空港、スワンナプーム国際空港、ウタパオ国際空港(東部ラヨーン県)の3空港を結びます。

事業全体の投資額は2,300億バーツ(約7,600億円)を見込み、ラヨーンから先のチャンタブリー・トラートまで延長する第2期プロジェクトもすでに予定しており、将来的にはカンボジアと通ずる国際高速鉄道を目指すと言います。

日本もEECに大注目

2017年9月、日タイ修好130周年を控えた

11〜13日、日本から世耕弘成経産相を筆頭に過去最大規模という約600人の経済視察団が訪タイ。タイが求めるのは東部経済回廊(EEC)構想への日系企業による、さらなる投資で、視察団の表敬訪問を受けたプラユット暫定首相は「EECは今後、20年に渡って整備される一大国家プロジェクト。法律で定められた構想なので政権が代わろうとも続きます」と政権交代による計画白紙などで、煮え湯を飲まされることがないと念を押した。

その後開かれた世耕経産相とタイ経済担当のソムキット副首相による会談では、タイ側から、両国による経済戦略を議論する定期会合設置の他、タイの周辺国であるCLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)を含めたメコン地域の経済発展につながる鉄道や道路整備への協力を求められたという。

その後、一団は日本貿易振興機構(JETRO)が主催する、タイ投資促進を図るビジネス交流会に参加。交流会には、日タイ合わせて約1200人が集い、200社以上の企業が自動車、ロボットなど4つの分野(ゾーン)に分かれてビジネスマッチングに挑んだ。さらに経団連、国際協力機構(JICA)とタイの政府機関による経済協力に向けた覚書が交わされた他、私企業では日立製作所がEEC構想へのIoT(モノのインターネット)技術分野での協力を約束した。

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【4】EECとは別にBOIでの恩典も!