>

【第25回】BOIタイ投資委員会(投資奨励法)

長谷場:まずはコレ、1972年に制定された投資奨励法のポイントを見てみましょう。

輸出産業の重点奨励
原材料の輸入にかかる輸入税および事業税の免税が、以前は政府が認めた事業に対して広く認められていたが、この時から輸出商品生産のためだけに限定。

工場の地方分散
都市と地方の格差是正のため、特定地域の企業に対して税法上の各種恩典を付与

BOIの権限強化
これ以前は一律5年等の法人税免除とされていたのが、3~8年間の法人税免税期間をBOIが決定できる(さらに免税期間終了後に5年間半減も可能)ことに。

長谷場:ここに書かれていることは全て、基本的に現在有効な2017年版の投資奨励法でも引き継がれています。

ミィ:そういえば1972年と言えば外国企業規制法が制定されていましたよね? 投資奨励法との関係はどうなっているんですか?

長谷場:はい。以前、勉強した外国企業規制法(現在は外国人事業法)が外国企業のタイ進出に「ブレーキ」をかける法律だったのに対し、投資奨励法は「アクセル」を踏む関係にあります。この2つの関係ですが、実は外国人事業法が「このような事業を外国人がやってはいけない」と定義している事業を、投資奨励法が奨励している場合、投資奨励法を優先する関係にあります。

ミィ:おお! 投資奨励法の方が強いんですね。

長谷場:はい、外国人事業法の管轄は商務省の事業開発局ですが、投資奨励法の管轄はBOIです。一時期を除いてBOIが首相府の直轄とされてきているのも、そういった理由からだと思います。

ミィ:政府の後押しですね。

長谷場:この1972年の投資奨励法ですが、面白いことがいくつか書かれています。例えば、①奨励企業を国有化しない、②奨励企業と競合する国営企業を新たに設置しない、③奨励企業の保護が必要な場合、BOIは外国製品に対して50%を超えない範囲で課徴金を設定できる。これが十分ではない場合、同種製品の輸入を禁止できる。という条項があります。

ミィ:アレ? ①、②は1959年の布告で書かれていたことですよね?

長谷場:時もまだそういった懸念があったみたいで、そのためにあえて法律に明記したようですね。実は、この法律はこの後に何度か改定されているのですが、最新の2017年版の投資奨励法でもこれらの文言は残っているんです。

ミィ:企業は国にでてこられたら敵いませんからね。心配しなくて良いと。

長谷場:それにしても、BOIが奨励する企業を守ります! という姿勢が強く打ち出されていますよね。

ミィ:本当ですね。輸入を禁止してでもBOIが奨励している企業を守ります、って。

長谷場:ただ、投資奨励の1回目で勉強したように、「BOIの投資奨励制度は外国企業にだけ適用されるのではなく、タイ企業に対しても同様に適用されている」ということに注意が必要です。要するに、これらの条項はタイに投資した日本企業を守るというより、当時はタイ企業を守るためだった、と考えた方が正確ではないかと思います。

—次回に続く

※2018年、週刊ワイズ連載「ミイ泰ビジネスを学ぶ」より
http://www.wisebk.com/